乳がんのリンパ浮腫に関するセルフケア研究|公立大学法人 福島県立医科大学

ムーンストーングループ:乳がん関連リンパ浮腫のセルフケア

Moonstone

~最新ガイドラインをもとに正しいセルフケアを~

目次
手術の時に受けたセルフケアの説明を覚えていますか?
乳がん関連リンパ浮腫とは
最新乳がん関連リンパ浮腫セルフケア
1.スキンケア

2.リンパドレナージ
詳しく
3.弾性包帯や弾性着衣(弾性ストッキング等)による圧迫(圧迫療法)
詳しく
4.運動療法
詳しく
5.体重管理などの日常生活の注意

この資料は最新のリンパ浮腫診療ガイドライン2024年版とがん情報サービスや研究論文をもとに作成しております.

本研究にご参加いただきありがとうございます.

皆様には本サイトの動画・テキストで最新の乳がん関連リンパ浮腫(BCRL)セルフケアを学び6か月間実践して頂きます.
新しい習慣を身に着けるのは大変ですが成果を視える化し継続していきましょう.

同じグループの仲間とともに6か月間よろしくお願いいたします.

ご不明な点は問い合わせフォームからお問い合わせください.

皆さんの研究参加中の流れについて説明致します.

結果を発表するまで研究の内容をSNSに掲載したり他言しないようお願い致します.

学修した内容を実践し,サイト内でダウンロードできるセルフケアチェックシートにその日できた事に丸をつけたりシールをはったりして自分が行ったセルフケアを可視化しましょう.

月1回のオンラインサロンではグループごとに少人数で集まり,それぞれ成果を報告しあい,発表していただきます.

また,アンケートを1週間後,1か月後,3か月後,6か月後にお送りしますのでご協力をお願い致します.

 

手術の時に受けたセルフケアの説明を覚えていますか?

テストします!

〇×でお答えください.

乳がん手術を受けた人はシンプルリンパドレナージ(セルフリンパドレナージ)を毎日行う方がいい.×

乳がん関連リンパ浮腫ではウェイトリフティングは絶対に行ってはいけない.×

清潔が大事なのでナイロンタオルに石鹸をつけてよく洗う.×

全問正解できましたでしょうか?

新しいガイドラインや研究結果でセルフケアの内容が変わっていますので確認していきましょう.

本プログラムの教育内容は最新の研究やガイドラインにそって提供しています.

研究が進みBCRLセルフケアの内容は変化していますし,より詳しく説明している項目もありますので是非確認してください.

この機会に正しいセルフケアを身に着けましょう.

新しい生活習慣を始めたり続けることは億劫かもしれませんが,仲間と一緒に習慣化できるようにやっていきましょう.

乳がん関連リンパ浮腫とは

・リンパ節の切除や放射線治療,一部の薬物療法などによりリンパ液の流れが悪くなることで起こります.

・治療部位に近い腕などの皮膚の下に,リンパ管内に回収されなかったリンパ液がたまってむくんだ状態です.

・乳がん手術を受けた方の20%程度に発症すると報告されています.

・乳がんリンパ浮腫の症状は発症すると治りづらく進行しやすいため生活にも影響します.

・リンパ浮腫は予防することや、早く見つけて治療を受けることが大切です.

・リンパ浮腫は最初は柔らかくて押しやすい腫れで,凹みが残ったり,出たり消えたりすることがあります.

日中悪化し夜には治まる場合もあります.

対処しなければ症状はさらに重篤になり改善しにくくなります.

次のような他の症状が現れる可能性があります。

・痛み、重い感じ

・動きづらい

・皮膚感染症(蜂窩織炎)を繰り返す

・皮膚が硬くなる,きつくなる,厚くなる

・皮膚にひだ,イボのようなものがでる

・皮膚からリンパ液が漏れる

最新乳がん関連リンパ浮腫セルフケア

リンパ浮腫セルフケアは,十分な指導を受けた場合ではリンパ浮腫の発症予防や発症後の増悪予防となり得ることが報告されています.

リンパ浮腫のケアによいとされることは,研究が進むにつれ,皆さんが説明を受けた時と内容が変わっていくことがあります.しかし末端の臨床では変わっていないことがあるのが実情です.

改めてこの場で最新の正しいセルフケアを学びましょう.

リンパ浮腫を発症した場合,治療はリンパ浮腫外来で保険診療で行うことができます.

行われるのは以下の複合的治療でリンパ管に回収できなかったリンパ液をリンパ管に戻すために行います.以下はがん情報サービスというサイトからの引用です.

1.スキンケア

2.用手的リンパドレナージ(手で行う医療的なマッサージ)

3.弾性包帯や弾性着衣(弾性ストッキング等)による圧迫(圧迫療法)

4.弾性着衣などで圧迫した状態で行う運動(運動療法)

5.体重管理などの日常生活の注意

ただし,最新の研究やリンパ浮腫診療ガイドラインでは積極的に推奨しないものも含まれていますので,医療機関の方針を確認してください.

1.スキンケア

リンパ浮腫の悪化の原因には感染,蜂窩織炎(ほうかしきえん)があります.

リンパ浮腫の皮膚は弱く傷つきやすくなっている上,傷口から細菌に感染しやすく蜂窩織炎を起こすことがあります.また,一度起こすと何度も炎症を繰り返し,リンパ浮腫が悪化していくことが知られています.

治療には抗菌薬が使われます.抗菌薬は炎症の兆候が出た時のために手元においておくとよいでしょう.

この蜂窩織炎を予防するため,スキンケアが重要です.細菌が入り込まないよう,(1)清潔にし,皮膚の肌理を整えバリア機能を整えるよう(2)保湿をする必要があります.

 

    • 清潔を保つ

 

ナイロンタオルなど皮膚を傷つける道具は使わず,手で洗いましょう.

せっけんは皮膚を乾燥させるため,最小限の使用にとどめ,泡立てネットなどでよく泡立ててから皮膚(しわや指の間)を洗います.

泡はしっかり流しましょう.

石鹸の代わりに皮膚軟化剤を使って洗浄する方法があります.

石鹸代替品https://en.wikipedia.org/wiki/Soap_substitute

皮膚軟化剤の使い方

エモリエントローション、スプレー、クリーム、軟膏は皮膚に直接塗布してください。

毛の伸びる方向と同じ方向に、こすらずに優しく肌になじませてください。これは毛包の詰まりを防ぐのに役立ちます。

肌が乾燥したり張りを感じたりしたときに、失われた水分を補うために使用できます。これらは非常に安全なので、使いすぎることはできません。

さまざまな皮膚軟化剤を試したり、組み合わせたりする必要がある場合があります。たとえば、日中はクリームを使用し、夜は軟膏を使用することを決定できます。

エモリエント剤を使った洗い方

少量(小さじ1杯程度)の洗い流さない皮膚軟化剤または石鹸代替品を手のひらで少量の温水と混ぜ、湿った肌または乾燥した肌に塗り広げます。

皮膚を洗い流し、こすらないように注意しながら軽くたたいて乾かします。

手洗い、シャワー、お風呂の際には、洗い流さない皮膚軟化剤や石鹸の代替品を使用できます。

通常の石鹸のように泡立ちませんが、皮膚を洗浄する効果は同じです。

エモリエント洗浄製品を使用した後に皮膚がヒリヒリし、すすいでも治らない場合は、薬剤師に別の製品を勧めるよう相談してください。

https://www.nhs.uk/conditions/emollients/

 

    • 保湿する

 

リンパ浮腫の方は皮膚のバリア機能が落ちていますのですぐに保湿剤を塗りましょう.

入浴後は特に皮膚から水分がどんどん抜けるので,皮膚に水分が残っているうちに保湿をします.

保湿剤は色々ありますが,香水付きのボディローションは肌を乾燥させ、炎症を引き起こす可能性があるため、避けるようにしてください。

https://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/coping/physically/lymphoedema-and-cancer/treating/caring-for-your-skin

保湿剤は1日3回から4回塗るといいでしょう.

日中はべたつかないクリーム,入浴後は脂っこくて濃厚で保湿力が高い軟膏を使うなど工夫してみてください.

特に白色ワセリンは非常にバリア機能が強力で乾燥して厚くなった皮膚にも適しています.

軟膏には通常、防腐剤が含まれていないため、敏感肌に適しています.

このほかにも,健康な皮膚の状態を保つために皮膚の病気(水虫など)は、皮膚科で治療する,傷や虫刺され、やけどなどから、皮膚を守る,揚げものや熱いものを持つときは、ミトン(鍋つかみ)や炊事用の手袋を使う,野外活動やガーデニングをするときは、ゴム手袋や長袖で腕を覆うなどがあります.

2.リンパドレナージ

2024年リンパ浮腫診療ガイドラインは自分で行うセルフリンパドレナージは科学的根拠に乏しく勧められないとしています.
医療者が行うものも症例の選択は慎重にとしています.

個別での対応が必要と考えられますので,セルフマッサージ実施については自己判断で行わず,かかりつけの病院で確認してみてください.

3.弾性包帯や弾性着衣(弾性ストッキング等)による圧迫(圧迫療法)

2024年リンパ浮腫診療ガイドラインで,圧迫療法は浮腫の軽減効果あるいは増悪抑制効果があり,標準治療として勧められると掲載されています.
担当医師の指示のもとで最適なサイズ,圧迫圧,形状のものを選び,処方通りに実施しましょう.

圧迫療法には、腕に装着するスリーブ,グローブ,また弾性包帯(多層包帯法)などがあります.
療養費を申請することで,購入費用の一部が後で戻ってくる場合がありますので担当の医師に確認しましょう.

間欠的空気圧迫療法(空気圧ポンプ療法)はまだ推奨できるレベルの結論はでていませんが,医療者と相談して使用ください.

4.運動療法

乳癌手術後の上肢リンパ浮腫は,運動により軽減し得るという報告があり,ガイドラインでもある程度の科学的根拠があり実践するよう推奨するとなっています.

リンパ浮腫改善だけでなく,運動は10分であっても死亡リスクを低下させるなど様々な利点が報告されています.

Saint-Maurice PF, Graubard BI, Troiano RP, et al. Estimated Number of Deaths Prevented Through Increased Physical Activity Among US Adults. JAMA Intern Med. 2022;182(3):349–352. doi:10.1001/jamainternmed.2021.7755

2024年のリンパ浮腫診療ガイドラインでは有酸素運動や筋肉トレーニングなどの海外の研究を紹介しています.また,このガイドラインを発行している学会ではある程度の運動強度が必要,10分以上の運動を推奨しているようです.

このガイドラインに含まれていない新しい研究結果では運動のタイプは複合運動(有酸素運動とレジスタンストレーニングの組み合わせ)が最も効果的であるとしています.

Lin, Y., Chen, Y., Liu, R., & Cao, B. (2023). Effect of exercise on rehabilitation of breast cancer surgery patients: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nurs Open, 10(4), 2030-2043. https://doi.org/10.1002/nop2.1518

運動の内容,強度,量などについてはかかりつけの医療施設で相談し,実施してください.

肥満はリンパ浮腫悪化のほぼ確実な危険因子です.

運動はこの肥満にもよい影響を与える可能性があります.

 

乳がん関連リンパ浮腫を改善する運動は検索すると様々な運動方法が出てきますが,運動の内容,回数,時間など具体的な指導を行う施設は限られ一貫性がなく,効果の検証ができていないのが実情です.

かかりつけの病院で看護師さんや医師に聞いてみて下さい.

5.体重管理などの日常生活の注意

毎日体重計にのりましょう.

肥満は続発性リンパ浮腫発症のほぼ確実な危険因子です.

 

体重管理が続発性リンパ浮腫の発症率を下げる,あるいは浮腫を軽減することもほぼ確実だとされています.

生活の中で体の部分的な圧迫を防いで、リンパ液の流れを妨げないようにしましょう.

身に着けるもの(服・下着・靴下・腕時計・アクセサリー)は、ゆったりとしたものにしましょう.

就寝時疲れやむくみを感じるときは腕や脚を少し高くして休むとよいでしょう.

長時間の入浴は皮膚のバリア機能を低下させるので注意しましょう.

リンパ浮腫悪化予防には正しい情報を得て日々セルフケア(複合的治療)を行うことが効果的です.
スキンケアや運動など新しい行動を始める,継続することはハードルが高く感じるかもしれませんが,メリットは大きいです.
仲間と一緒に実施することでよい生活習慣を身につけましょう.

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